8月豪雨時の避難勧告、なぜ起きた北区への誤報

平成21年9月議会

p-hatori-manga平成20年8月28日から本市を含む広範な地方を襲った豪雨に関連し、災害時の情報伝達についてお尋ねをいたします。 初めに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

今回の豪雨は時間雨量が市内で最大103ミリと、平成12年9月の東海豪雨に匹敵する降雨量を記録しました。そうした中、床上浸水は東海豪雨が1万1142戸、今回の豪雨では1,149戸と、数字の上では格段に被害が減少しております。完了している緊急雨水整備事業前期分が、一定の成果を上げていると思います。

しかし、浸水被害に遭われた方々にとってはその事実がすべてです。後期緊急雨水整備事業などハード面の整備を進めると同時に、起きてしまった時にいかに有効な情報を市民に正確に伝達し、被害を最小限に食いとめるかということが極めて大切です。
 

北区内で100件を超す床上浸水、避難勧告は結局発令されず
短時間に大量の降雨、市と区の各本部も現場では相当な混乱

今回の豪雨で100件を超す床上浸水の被害があった北区では、28日午後11時50分に避難準備情報が発表されましたが、避難勧告は結局発令されませんでした。情報伝達の過程で一つ大きな問題が発生していたのです。それは、避難勧告の情報伝達に誤りがあったということであります。いわば誤報があったということです。

29日午前1時55分、新川の河川洪水の恐れから、西区、中川区、港区の3区に避難勧告が発令されました。その際に、参考情報として近隣区に流された情報を、北区の災害対策本部が避難勧告と受けとめ、地域にそのまま伝達をしてしまったと聞いています。

短時間に大量の降雨があり、矢継ぎ早に避難準備情報、避難勧告が出され、市と区の各本部も現場では相当な混乱があったと想像できますが、この事実は明らかに伝達の不手際と言わざるを得ません。まさに初歩的な誤りであり、慎重に確認しさえすれば防ぐことのできた話ではないでしょうか。この件に関し、特段の被害がなかったのは不幸中の幸いでした。
 

誤報の教訓を活かし、現実に即した情報伝達の訓練を実施すべき

水害の様子大規模災害が起きるたびに再発防止という言葉が飛び交いますが、そもそも生身の人間が誤りを犯さないという保証はありません。今回の失敗を今後に生かし、市の本部と各区本部との一層の連携を図っていくためには、より現実に近い訓練の実施が必要ではないかと思います。

毎年、出水期を迎える前の5月下旬から6月上旬にかけて、各区で水防訓練が実施されております。ことしも私は出席させていただきましたが、消防団員の方々が中心となり土のうのつくり方や積み方、くいを打っての土どめなどに力強く取り組まれております。こうした実践訓練ももちろん大切でありますが、同時に避難勧告等の発令を想定した市と区の連携訓練などは、実施されていないのではありませんか。

実践訓練と同様に、場合によってはそれ以上に情報の伝達訓練は大切であります。今回の経験を教訓として、より現実に即した情報伝達訓練を実施していくべきと考えますが、今後どのように取り組むのか、消防長の御見解をお尋ねいたします
 

市本部や区本部の動きについて、問題点を検証する情報伝達訓練を実施

【市の答弁】
河川の氾濫や土砂災害を想定した新たな防災情報体系が全国的に導入されたことに伴い、本市といたしましても本年6月に避難勧告の発令基準などを見直しました。こうしたこともあり、今回の豪雨において意思の疎通がうまくいかず、誤った避難情報が伝達されたことは、まことに遺憾で、関係区の市民の皆様には深くおわびを申し上げます。

今後の取り組みとしては、各区総合水防訓練の中で、短時間に大量の降雨が発生したとの想定のもと、避難準備情報や避難勧告が発令された状況での、市本部や区本部それぞれの動きについて正確にシミュレーションし、問題点を検証する情報伝達訓練を実施してまいります。また、各区総合水防訓練とは別に、早い機会をとらえて市本部と区本部の間の情報伝達訓練を行い、その結果を今後の災害対策に生かしていきたいと考えております。
 

行政の「避難勧告等の基準変更」を、市民は知らず
避難準備情報などの用語を、市民に広く周知する努力が必要

p-hatori-manga情報伝達訓練というのは、大がかりな準備等が必要だというわけではないので、早急に取り組んでいただきたい。ここに本年4月24日付の「6月1日から避難勧告等の基準を変更する」という小西消防長さんと村上緑政土木局長さん連名の文書を持ってきております。ところが、この変更に関して、市民の方々に広く浸透しているという印象は受けませんでした。

基準を改善するという情報が一体何を意味するのかということを広く理解されることが情報伝達の前提だと思います。避難準備情報などの用語の周知に御努力をいただきますよう強く要望します。