「避難勧告準備情報ってなに?」 戸惑う市民
 防災情報の伝達にあらゆる努力必要

平成18年9月議会

p-hatori-manga第130号議案「名古屋市防災条例の制定について」、私は、第10条、情報の提供等に焦点を当ててお尋ねいたます。
この9月11日であの東海豪雨から6年が経過いたしました。被災された多くの方々にとって、いまだぬぐい去ることのできない忌まわしい記憶として鮮明に脳裏に焼きついております。東海豪雨については、その範囲や被害の甚大さから考えて別格としても、ここ数年来、都市型の集中豪雨が頻繁に発生しており、特に夏から初秋にかけての局地的豪雨は、もはや、珍しいこととは言えない状況です。

最近では、一部で都市型ゲリラ豪雨などといった表現もなされていますが、いまだそのメカニズムの全容を解明するには至っておらず、有効な対策、豪雨予測、発生抑制策についても研究中であるとしか言いようがありません。

しかし、最近では、防災科学技術研究所が5年後の実用化をめどに、都市型集中豪雨の発生を1時間前に予測するシステム開発に着手したり、一部民間企業でも河川流出解析システムの開発が進められているとのことです。

言うまでもなく、水害に関しては、これらの研究等について情報を収集し、市として対策に役立てていくことが、防災、特に水防施策の前提であると思いますが、助役の基本的なお考えを伺いたいと思います。
 

市側「防災情報が必ずしも十分に機能しているとは言いがたい」

【市の答弁】
議会でのはっとり防災情報は、限られた時間の中で必要な人に必要な情報が伝達をされ、しかも、情報に対応する必要な行動がとられて、初めて効果を発揮するものですが、これらの要素が必ずしも十分に機能しているとは言いがたいところがございます。

そうしたことから、市民の皆様への災害情報の伝達手段につきまして、それぞれ一長一短があるため、さまざまな手段を組み合わせて災害情報を伝達いたしておりますが、市民の皆様にも、こうした情報をみずから積極的に収集するように努めていただきたいとも考えているところです。

本市といたしましても、国や大学、そして民間の研究機関などにおきまして防災分野の研究が推進されておりますことから、これらの研究の動向を見守りつつ、新しい成果の有効性や信頼性を確認しました上で、今後とも必要な情報の収集と市民の方々への的確な伝達に努めるよう万全を期してまいりたいと考えております。
 

5年ぶりの避難勧告準備情報、市民に理解されていないことを実感

去る8月22日には市内で集中豪雨が発生し、本市を含む尾張東部に大雨洪水警報が発令されました。この後、北区内の4学区に避難勧告準備情報が出されました。この事例をもとに、避難勧告準備情報の伝達を情報提供の例として伺います。

避難勧告準備情報は、甚大な被害をもたらした東海豪雨の際、唐突に避難勧告が出されたことにより迅速な避難行動ができず、自宅から救出された方々も多数おられたことなどの教訓を踏まえ、平成13年に新たに設けられた制度であり、これまでに9回発表されました。

避難勧告準備情報は、市民の皆さんが無用な混乱を生じさせることなく適切かつ迅速な避難行動ができるよう、雨量や河川の水位など状況を見て避難勧告の前に出されるものです。

幸い今回の豪雨では事なきを得たわけですが、この豪雨の後、私はさまざまな声に接しました。テレビで情報を知った遠方の親戚から、「大変なことになっているようだが大丈夫か」との電話があり、逆に「心配になった」とか、「同報無線のスピーカーがあるが、何と言っているのかわからなかった」、また、「避難勧告準備情報が解除された時になって初めてテレビで知った」、さらには、後から触れますが、「そもそも避難勧告準備情報とはどういう意味か」などといったものです。

避難勧告準備情報が出されたのは、北区においては平成13年以来およそ5年ぶりであるとはいえ、市民の方々に十分理解されていないことを実感いたしました。
 

あいまいな解釈のまま、情報が飛び交っている状態が混乱を助長

間もなく、あるいは今後確実に避難勧告が出されるから、今のうちにその準備をしておいてくださいという解釈と、避難勧告が出るかもしれない、または出る可能性があるので心づもりをして備えてくださいというのとでは、意味合いに大きな隔たりがあります。もちろん本来の趣旨は後者のものでありますが、あいまいな解釈のまま情報が飛び交っている状態が、混乱を助長していると言わざるを得ません。

また、今月3日には各区で総合防災訓練が行われましたが、先月の事例があったにもかかわらず、避難勧告準備情報についての説明は、少なくとも北区においてはありませんでした。水防訓練ではないから、あるいは、準備情報の出た地域が開催担当ではなかったから必要がないと判断をされたんでしょうか。

私は、当然、広く市民の皆さんへの周知を図るというのであれば、あらゆる機会を通じて伝えていくべきだと思いますし、区役所へは消防局が働きかけるべきだと思います。災害時の情報の伝達は決して単純なテーマではありません。

あらゆる手段で情報を伝達し、もちろんそれは末端まで正確なものでなければならないと思います。また、受け取る側も的確に受け取ってもらわなければなりません。その意味で、自助努力は必要不可欠であることは言うまでもないことですが、市は、知らせる努力をし続けなければなりません。

こうしたことを踏まえて、第10条にある情報の提供についてどのように進めていかれるのか、消防長の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
 

「訓練や講習会などの機会で、災害に関する情報の理解が深まるよう努力」

【市の答弁】
避難勧告準備情報は、東海豪雨の教訓により、平成13年に本市独自の制度として導入したものであり、市民の皆様が余裕を持って適切な避難行動ができるよう、現時点では避難勧告の発令に至りませんが、今後この気象状況が継続すると避難が必要となる可能性があると判断した場合に、区または学区単位で発表するものでございます。

避難勧告準備情報とは何か、発表された場合、何をすればいいのかにつきましては、これまでも避難所マップや広報なごや等で市民の皆さんに周知をしてまいりましたが、制度導入後5年がたったことから、その周知の方法につきましては、検討すべき時期になっているのではないかと考えております。

避難に関しての必要な情報の提供については、条例案でも市の責務の一つに掲げております。今後は、御指摘のありました現状を踏まえ、地域において防災に関して現在行われている訓練や講習会などの機会もとらえて、避難勧告準備情報を初めとする災害に関する情報につきまして、市民の皆様の理解が深まるよう積極的に努めてまいります。

また、避難に関する情報を発表した場合には、報道機関を通じた広報もお願いしておりまして、条例案第10条第3項でも、市民の皆様にテレビ、ラジオ等から防災に関する情報を積極的に収集していただくよう規定しております。このことがみずからの命や財産を守るためにいかに重要であるかについて、十分に啓発していく必要があると考えております。
 

避難勧告準備情報が出た地域に、その後きちっとフォローを

災害時における情報の提供あるいはその伝達というのは、被害を最小限に食いとめる、そのために最も大切な部分だというふうに私は思っております。

そういった意味で、今回、避難勧告準備情報を例に挙げて伺ったわけですけれども、先月の事例では、最終的に避難勧告には至らなかった、それ自体は幸いなことでございます。

しかし、こういったことは今後も起こり得ることでして、こういったことがたび重なれば、それこそオオカミ少年のような話にならないとも限らない、そういった大変難しいテーマだというふうに思っております。

であるからこそ、ふだんの取り組みといいますか、災害関連の用語の持つ意味の周知といったことも含めて、その徹底が必要であるというふうに私は思っております。答弁にもございましたように、あらゆる機会で伝える努力、これをぜひしていただきたい、これはぜひ積極的にしていただきたい。

あわせて、避難勧告準備情報が出た地域については、その後きちっとフォローをするといいますか、それぞれ定例会も開かれておるわけですから、そういったところへ出向いて行って積極的にPRする、あるいは説明をするといったことも大切ではないかと私は思いますので、これは強く要望いたしておきます。