ポスト万博に名古屋開府400年事業を

平成17年9月議会

p-hatori-manga西暦1610年は名古屋城築城開始の年であり、名古屋開府の年です。2010年には、ちょうど開府400年の節目の年が巡ってきます。

さて、「愛・地球博」も好評のうちに終了したわけですが、名古屋が国際交流拠点都市としてその地位を確固たるものにするためには、むしろこれから、この万博の成果を生かす取り組みにかかっていると言っても過言ではないと思います。
 

大型の国際的コンベンションの誘致は大きな意義

そうした意味で、大型の国際的なコンベンションの誘致は、大きな意義を持つものと考えます。これまでも本市は、平成元年の世界デザイン会議の開催を皮切りに、同3年のIDB(米州開発銀行)総会、同11年のPATA(太平洋アジア観光協会)総会、さらには同15年のIcograda世界グラフィックデザイン会議などの大型コンベンションの誘致に成功し、地域の活性化と知名度の向上に努めてまいりました。

万博が終わり、地域経済の急速な冷え込みを懸念する向きもある中、中長期的展望に立ち、次の大きな目標を持つことは大変重要な姿勢であると思います。ポスト万博というよりは、プレ開府400年という発想のもと、2010年を目途に、名古屋をさらにアピールすることのできる新たなコンベンション誘致策について、市長の基本的なお考えを伺いたいと思います。
 

財政難の中、名古屋城本丸御殿復元の意義は?

名古屋城本丸御殿の完成予想図

名古屋城本丸御殿の完成予想図

次に、本丸御殿の位置づけについてお尋ねをいたします。

新世紀計画2010第2次実施計画では、本丸御殿について、2010年にその復元過程の公開を目指すとしています。現在本市では、名古屋城本丸御殿積立基金を設置して市民の寄附を募っていますが、今までのところ集まった金額は約2億円だそうです。

また、今年開催されました新世紀・名古屋城博は、目標入場者数を上回る120万人の方々に来場いただき、収益およそ3億3000万円も、本丸御殿復元のための基金に繰り入れられるとのことでありますが、先ほど申した2億円と合わせても5億円強であります。

一方で、復元には150億円かかると言われる中で、財政難も重なり、復元には決して平たんな道ではないことも事実であります。歴史的、文化的意義のある本丸御殿復元の位置づけを一体どのようにお考えになっておられるのか、市長にお答えをいただきたいと思います。
 

大規模国際コンベンションを開催し、連続的テーマ別メッセ都市を目指す
本丸御殿の復元は、名古屋開府400年に向けた中核的な事業

【市の答弁】
「愛・地球博」の大きな特徴でございました市民と企業との協働、機運、経験といったものを生かしまして、名古屋開府400年に向けたまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

名古屋開府400年に向け、新たなコンベンション誘致策でございますが、今後は、例えば環境、産業技術、あるいは健康福祉など、こういったこの地域の特性や資源を生かした大規模な国際コンベンションを民間の事業者と協働で積極的に誘致をいたしまして、人、物、情報が交流する元気な名古屋を世界に発信することが大事だと思っています。連続的テーマ別メッセ都市を目指すことは、極めて大事なことだと考えております。

次に、本丸御殿の位置づけについてもお尋ねをいただきました。
名古屋城は地域のシンボルで市民共有の財産でございます。今年度行いました新世紀・名古屋城博の後半の盛り上がりを見まして、そのことをしみじみと感じました。

ただ、この名古屋城は惜しくも戦災で焼けました。昭和34年に再建された天守閣がいわば権威の象徴、「力の象徴」であるとすれば、本丸御殿は平時の政をする「文の象徴」でございまして、この二つがあって初めて名古屋城は本当によみがえったということになると思っております。

幸いにも本丸御殿の障壁画、1,049点でございますが、これは疎開をしてあったために戦災の焼失を免れまして、その大部分、1,047点が重要文化財に指定されております。さらに現在、400年前の創建当時の絵の具、あるいは和紙などの材料を用いて鮮やかな色彩を現代によみがえらせる障壁画の復元作業が営々として行われておりまして、本丸御殿が復元されたときには、この作品が描かれた当時の美しく華やかな室内をごらんいただくことができる、これは世界的にも例がないことになると思っております。

本丸御殿を復元することは、名古屋城と名古屋の価値と魅力をさらに高め、市民の新たな誇りと愛着をつくり出すとともに、名古屋の文化のすばらしさを広める殿堂として、あるいは伝統技術を継承する貴重な機会として、世界に誇ることができる文化資産を後世に引き継ぐ事業となるものというふうに思っております。

本丸御殿の復元を、名古屋開府400年に向けた中核的な事業として位置づけまして、これからの大交流を迎える中、名古屋の文化と歴史を世界に向けて発信する拠点となりますように、できるだけ早く本丸御殿の復元をしたいというふうに思っています。途中のステップを、いろいろなイベントを連続的にすることによって機運を継続させてまいりたいと思っております。
 

本丸御殿普請の過程を公開することも、観光資源の一つ

p-hatori-manga大変夢のあるプロジェクトと思っておりますが、150億円かかると言われる中で、現在のところ5億円強と。要は大変みんなが願っておるんだけれども、資金的には大変厳しいという状況が続いておるわけで、第2次実施計画においては、これを着手したいという市長の意志が伝わってくるわけですが、いつできるのかわからないというようなことでは、困るわけです。

5年、6年、あるいはそれ以上の時間をかけて再建を目指していくといったことも、私は考えられるんではないかなと。そうした場合に、日本建築の普請の過程を見せていく、あるいはそれを観光資源にしていくといったことも考えられるのかなと思っております。いずれにいたしましても、早い時期に具体的な再建、造成の方策をきちっとした形で示していただきたいと要望しておきます。